あらすじ

 時は2021年。

全地球規模の新型コロナウイルス感染拡大により大混乱の世の中。

東京世田谷の小さな町・祖師ヶ谷大蔵では、コロナ禍の影響で公演が打てず、解散危機に追い込まれているパペット劇団「くらげ座」の劇団員たちが、なんとかしがみつきながらも配信公演の稽古を続けていた。

その劇団員、女子大生の「海豚崎ふうか」、ダンス講師の「雲丹沢ヤスオ」、BAR 店長の「亀ヶ屋まこと」の3人に突然、地球外生命体「エンジェル」が舞い降り、憑依する。
お互いを「艦長」「掃除屋」「教授」と呼び合う彼らは、意味不明な会話を交わし始めた。

「パンドラは何処にいる? パンドラがいないと空母艦と通信できない」
「ということは、コスモスから指令が来てもわからないってことか…そりゃマズいな」
「他の地域に散った同胞達との情報交換もできないわけか…」

「艦長」が見つけた稽古場の片隅にある劇団員の集合写真。
その写真には今ここにいる3人に加え、もうひとり女性が写っていた。

「パンドラはおそらくこの女性にシンクしたのだろう」
「何かトラブルがあったんじゃないか。早く探し出して救出しないと!」

一方、その「パンドラ女」と呼ばれた女性「似鳥サンゴ」は怪しげな個室にこもり、
“祖師ヶ谷の天使”という名でリモート占いや人生相談を行っていた。

その日のリモート相談客は「帆立坂竜二」というメルヘンチックで奇妙な関西人で、「天使を探している」と真顔で話し始めた・・・

 

この物語は、新型コロナウイルスが蔓延する現在、「地球にとって人類の存在は善か?悪か?」 というSFでは使い古されたテーマをベースに、数々の所業から悪目立ちしかしてない残念な人類だが、付き合ってみると「人間って、結構捨てたもんじゃねぇな」と思えるような、そんな、少しの希望を感じられるお話しです。

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